―株式会社大丸松坂屋百貨店
左から
業務本部 業務改革部スタッフ 続 達也様
経営戦略本部 DX推進部部長 システム企画担当 谷亀 信之様
経営戦略本部 DX推進部 システム企画担当 雉岡 めぐみ様
業務本部 業務改革部部長 佐藤 隆様
業務本部 業務改革部スタッフ 棚橋 克成様
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J.フロント リテイリンググループの大丸松坂屋百貨店は、全国に15店舗を展開している老舗百貨店です。DXビジョンの策定や体制整備などの動きは、百貨店業界にとどまらず広く先進的な取り組みとして注目されています。
リアル店舗のみならずデジタルな空間でも顧客とのタッチポイントを作る一方で、創業400年を超える老舗百貨店 ならではの伝統的な商習慣がもたらす、大量の紙の契約書類が生産性を落とす現実もありました。
そこで導入されたのが電子契約・電子取引を統合的に支援するDocYou(ドックユー)です。サービスの選定、運用、そして社内での利用促進にかかわったキーパーソンに導入の経緯や成果をお聞きします。
最新の中期経営計画で「2026年までに完全ペーパーレス」を掲げる同社の展望や決意、DocYouにかかる期待とは、どのようなものでしょうか?
この記事のポイント
- DocYouを選んだ理由
- 電子契約だけでなく電子取引やスキャナ保存までワンストップに対応
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改正電子帳簿保存法への対応が可能
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類似サービスと比較した際のコストパフォーマンスの高さ
- 導入前から要望を聞き改善する姿勢
- DocYou導入後の成果
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営業部門とお取引先様の膨大な事務作業を軽減
- 請求書保存など新たな課題にもワンストップで対応見込み
- 手厚いサポートで運用も円滑化
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詳しい事例紹介
目次
電子契約サービスを導入した経緯
DocYouを選んだ理由
DocYou導入時のサポート
DocYou導入後の成果
今後の展望
まとめ
電子契約サービスを導入した経緯
導入6年前からペーパーレス化を検討。コロナ禍も重なり遠隔での契約締結に社内の理解が追い付いた
業務改革部・続様 DocYouの導入より、話は5~6年ほどさかのぼります。以前からペーパーレスをなんとか実現しなければという課題を感じていました。例えば、百貨店には「販促タイアップ同意書」と呼ばれる書類(以下、同意書)があります。同意書は季節のキャンペーンなどでお取引先様にご協力をいただく際に取り交わす書類です。年間1万件を超える同意書は、書類作成、押印や取り交わし、経理処理まで1件あたりおよそ1.5時間を要します。なかには取扱額が少額で処理にかかる人件費に見合わないケースもありますし、書類の保管にも膨大なスペースがとられ、マンパワーも必要です。
業務改革部部長・佐藤様 今でこそ弊社は、独自アプリの展開や来店しなくてもスマホでショッピングできる選択肢をお客様に提示するなど、DXの取り組みは広く知られているかと思います。しかし現在のようにDXという言葉の定着以前、初めて問題を提起した頃は、ペーパーレス化が必要だという雰囲気ではありませんでした。お取引先様も絡む大がかりな話だったので、なかなか重い腰が上がらないというのが実態だったのです。そこで、続らが中心となり現場から「非効率だからなんとかしたい」という声を集め、まずは同意書の電子化をきっかけに業務改善を推進する流れが社内で認められるようになりました。
DX推進部部長・谷亀様 ペーパーレスをなんとか実現したいという業務改革部の希望がベースにありました。そこにコロナ禍が重なり、さらには電子帳簿保存法の改正のタイミングもやってきて、社内的にもようやく「電子契約サービスに取り組むべきだ」という雰囲気が醸成されたのです。ただ当初は深く比較検討することなく、漠然と私が前職で使っていたサービスを導入したらいいのではないか、と思っていました。しかし電子取引の保存だけでなく、電子契約やスキャンデータの保存なども一体的に考えたほうがいいのではないかと思い始め、DocYouが候補の一つとして挙がったのです。
DocYouを選んだ理由
電子契約に加えて、電子取引とスキャナ保存までワンストップで対応
DX推進部部長・谷亀様 電子契約についてのみを考えれば、サービスの選択肢が多く、なかなか一つの製品に絞ることができませんでした。しかし、電帳法改正への対応も見通してみると、電子契約だけでなく電子取引やスキャナ保存といった機能は欠かせません。これらを別々に契約、導入するのは実務的な負担が大きく、従業員にとってハードルが高くなってしまうことが想定されます。DocYouはこれらの必要な機能をすべて備えており、ワンストップで対応できると聞き、興味を持ったのです。
業務改革部・続様 DocYouと出会ったタイミングもよかったのかなと思います。2021年夏だったと記憶していますが、ちょうどその少し前に経済界からの要望が働いて、法務省・総務省・経産省が立会人型電子契約サービスの法的根拠にお墨付きを与えてくれました。DocYouは2021年当時から、立会人型サービスでSMS送信による2要素認証にも対応しており、電子署名法の法的要件を満たしていました。このように法的根拠に支えられていたので、お取引先様に対しても呼びかけやすかったです。
お取引先様に費用負担がない料金モデルと、コスト面での優位性あり
DX推進部部長・谷亀様 加えて、DocYouの決め手となったのは、弊社のお取引先様に費用的なご負担が発生しない点です。電子取引・電子契約のSaaSを比較する中で、弊社が重要と考えていたのは、お取引先様の費用負担でした。もちろん弊社自身のコストも抑えたいのは当然ですが、それ以上に大事だったのは膨大な数のお取引先様のストレスにならないことです。弊社の都合で新たなシステムを導入いただくのに、お取引先様にも費用を負担いただくようなサービスは、弊社のカルチャーにはなじみません。お取引先様にサービス利用コストが生じないDocYouの料金モデルは、弊社にとって決断の際に重要なポイントとなりました。
業務改革部・続様 弊社にとっての導入コストも他社と比べて優位性があり、後押しとなりました。さらに電子契約だけにとどまらず、電帳法対応まで幅広く対応できるとお聞きしたので、長く使い続けるメリットも大きいと考えました。
利用申し込み前にもかかわらず、改善要望に応える姿勢に好感を抱いた
DX推進部部長・谷亀様 一度お話をお聞きしてDocYouが便利だとわかりましたが、弊社のコンプライアンスやセキュリティのルールをしっかり守れるのかが懸念でした。そこで、お取引先様 に新たな書類を送る際に「担当者が上司の承認をもらってからでなければ送信できないようにしたい」といった具体的な意見を申し上げたところ、即座に「すぐに対応します」という返答をいただいたのです。実際に対応完了の報告をいただいたときは、フットワークの軽さに驚くとともに、まだ利用していないのにもかかわらず、弊社の要望を取り入れてエンハンスしてくださったことに感心しました。
DocYou導入時のサポート
お取引先様への説明や社内への啓蒙など伴走体制の充実
業務改革部・棚橋様 導入が決まれば、SaaSなので利用開始までは非常にスムーズでした。ただ新しいサービスは、実際に使って慣れてもらうまでに苦労をともなうものです。特に今回の同意書は、従前どおりの紙でのやりとりも残した形で徐々に移行させようとしていたため、当初は利用率が伸び悩んでいました。お取引先様にも説明し、ご理解・ご協力をいただく必要がありますし、弊社の担当者が操作を覚えるのにも心理的なハードルがあるのは予想できました。
そこでお取引先様の協力を促す電子パンフレットや、社内啓蒙のために説明会を行うなどのアイデアも出していただきました。サービスの導入はゴールではなくて、スタートに過ぎない、利用が普及してこそのシステムだということを日鉄日立システムソリューションズ(以下、NHS)さんが深く理解しているからこそのサポートだと感じます。
SaaSの常識をくつがえす? システム改善要望や利用率向上のサポートもきめ細やか
業務改革部・続様 NHSさんの支援の中でもとりわけ印象に残っているのは、大阪で行った説明会時のエピソードです。導入後しばらく経過しても、関西の店舗でのDocYou利用率が伸び悩んでいたため、初めて大阪で利用説明会を行うことになったのです。本社と比べ、関西ではDocYouの認知度そのものが低いので「何か広告でも使ってプロモーションできませんか」とお伝えしたのです。
大阪には梅田と心斎橋に2つ店舗がありますが、説明会の開催直前にこの2駅を通る地下鉄の車内に動画CMを流してくれまして「短期間でここまで実行してくれるとは…」と驚かされました。「CMを見た記憶がある」という認知がある状態で説明会を行った結果、利用する社員も増えたので弊社とNHSさんの狙い通りだったかと思います。
DX推進部・雉岡様 システム保守の立場からお話をさせていただくと、きめ細かなサポートにいつも助けていただいています。SaaSの不具合は多かれ少なかれ起こりますが、そのときの対応に企業の姿勢が現れると思います。たくさんのユーザーがいる中、そのうちの一社に過ぎない弊社に時間をかけて対応するのは効率的とはいえないはずですが、親身になっていただけるのはありがたいです。「ログを調べてみましょう」「操作するタイミングで画面見ながらレクチャーしましょうか」などと、現場レベルの小さな問題も放置されないので、サポートしてくださるチームの皆様に感謝していますね。
DocYou導入後の成果
1件あたり1.5時間かかる同意書締結作業が半分近くに
業務改革部部長・佐藤様 DocYouの導入前に試算したところ、同意書1件の締結にかかる業務では、1件につき1.5時間程度を要していました。書類の作成、承認や捺印、郵送、お取引先様 からの返送内容のチェックまでを含みます。
新たにお取引先様 がシステムを利用する際、初回のみ登録手続きが必要であるもののそれさえ済ませれば、契約締結までの作業にかかる時間は、ほぼ半分に近づけられます。
業務改革部・棚橋様 2023年9月時点で約15%が紙からDocYouに置き換わっている状況です。移行しつつあるという段階ですが、社内に浸透しつつあるという手応えは感じられています。
導入前
導入後
利用経験のある社員やお取引先様の満足度は極めて高い
業務改革部・棚橋様 DocYouのような新しいシステムを自ら利用しようというのは、業務の生産性向上などに課題意識のある社員が多いです。そうした感度の高い社員たちは「便利だった。今後も利用したい」と口をそろえています。導入に協力してくださったお取引先様 からも好評です。
業務改革部・続様 一度でも使った社員の評判は本当に高いです。シンプルなUIで使いやすい、操作が覚えやすいというのが大きいと考えています。マニュアルもしっかりしているので「操作がわからない」という問い合わせは、ほぼ受けたことがありません。
業務改革部・棚橋様 だからこそ、社内の利用状況をまだまだ伸ばしていかなければなりませんね。引き続きNHSさんに伴走いただきながら促進していきたいです。
今後の展望
2026年の完全ペーパーレス化を目指して…中心にはDocYou
業務改革部・棚橋様 DocYou導入時は既存のお取引先様 と「同意書」のみに限定して、電子契約の取り組みを行ってきました。現在はさらなる活用促進に向けて、新規にお取引を開始する際の各種契約書・覚書で活用を開始しています。
DX推進部・雉岡様 DocYouの魅力はワンストップで運用の利便性が高いことです。今後さまざまなシステムを乱立させるのではなく、あらゆるシステムの中心にDocYouを据えていきたいと思います。従前は社員の手に委ねられていたさまざまな書類、たとえば各人に届く請求書も保管義務が生じるため、新たに経理部門とも連携して、DocYouおよび関連サービスをフル活用できるように基盤を整えていきたいです。
業務改革部部長・佐藤様 2024年度からの中期経営計画には、「完全ペーパーレス化の実現」が掲げられることとなりました。現段階では達成までの道筋が見えているわけではありませんが、DocYouを導入したことでペーパーレス化の端緒ができたことは非常に大きな一歩だと感じています。
DocYouにかかる弊社の期待は大きいです。ぜひこれからもよろしくお願いします。
社名:株式会社大丸松坂屋百貨店
事業内容:百貨店業
創業:大丸1717年 松坂屋1611年
商号変更:2010年(平成22年)3月1日
従業員数:3,822名 ※2022年度 専任社員・有期雇用者含む、出向者などを除く
URL:https://www.daimaru-matsuzakaya.com
まとめ
利用申し込み前からのサポートの手厚さに驚き、DocYouの導入を決断
- ペーパーレス化推進は業務改革の重要テーマ、電帳法への対応から「待ったなし」だった
- SaaSにもかかわらず、ユーザー側の要望を真摯に受け止めて迅速にエンハンス対応してくれたのが導入の決め手に
- 類似サービスと比較した際のコストパフォーマンスの高さが魅力的だった
NHSの伴走によって社内に着々と普及し利用が進んだ
- お取引先様への説明資料も支給され、着実にDocYouへの理解が広がった
- 現場からの細かな改善要望にも迅速に対応してもらえるので「やらない理由」を削れた
導入後の成果
- お取引先様との「同意書」の締結にかかっていた時間は1件あたり約1.5時間。これをほぼ半分まで削減できた
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シンプルなUIで操作しやすいため、一度でもDocYouを利用した社員の満足度は高い