最終更新日:2026年8月13日
国土交通省のガイドラインや導入事例を踏まえ、内容を全面的に見直しました。
建設業では、工事請負契約書や注文書・注文請書など、多くの書類が企業間で取り交わされています。電子契約を導入すれば、印刷や製本、押印、郵送などの作業を減らし、契約業務を効率化できます。
一方で、「工事請負契約書を電子契約で締結できるのか」「多数の協力会社へ展開できるのか」と疑問を持つ方もいるでしょう。建設業でも電子契約は利用できますが、工事請負契約の場合は、契約相手から事前承諾を得たうえで、法令上の要件を満たす必要があります。
本記事では、建設業で電子契約を利用するための要件やメリット、導入時のポイント・注意点を解説します。建設業・建設関連企業におけるDocYouの導入事例も紹介しますので、導入を検討している方は参考にしてください。
建設業でも電子契約は利用できる
建設業法では、工事内容や請負代金などの必要事項を記載した契約書に署名または記名押印し、契約当事者が相互に交付することを原則としています。
ただし、契約相手からあらかじめ承諾を得たうえで、国土交通省令で定められた要件を満たせば、書面に代えて電子契約を利用できます。
クラウド型の電子契約サービスについては、2018年以降、グレーゾーン解消制度を通じて、建設業法上の要件への適合性が確認されてきました。さらに、2025年9月30日には、国土交通省が新しく「電磁的措置による建設工事の請負契約の締結に係るガイドライン」を公表し、事前承諾の方法や電子契約に求められる基準を整理しています。
電子契約は、発注者と元請会社との契約だけでなく、元請会社と下請会社との契約にも利用できます。工事請負契約書や基本契約書、注文書・注文請書などが主な対象です。
また、サービスによっては、見積書や請求書などの取引書類も電子化できます。契約書の締結だけを電子化するのか、発注や請求を含む企業間取引全体を電子化するのか、対応したい範囲を整理してサービスを選びましょう。
出典
国土交通省「電磁的措置による建設工事の請負契約の締結に係るガイドライン」
建設業で電子契約を利用するための要件
建設工事の請負契約を電子契約で締結するには、契約相手から事前承諾を得たうえで、「見読性」「原本性」「本人性」の3つの要件を満たす必要があります。
それぞれの意味を簡単に整理すると、次のとおりです。

ここからは、それぞれのポイントについて詳しく見ていきましょう。
契約相手から事前承諾を得る
電子契約を利用する際は、あらかじめ利用する方法や内容を契約相手に示し、書面または電磁的方法で承諾を得る必要があります。
事前承諾を得る際は、主に次の情報を伝えます。
- 利用する電子契約サービスや契約書の送受信方法
- 契約書のファイル形式(PDFなど)
- 電子データの閲覧に必要なソフトウェアや環境
- 電子署名やタイムスタンプの形式
承諾は、紙の承諾書(同意書)だけでなく、電子メールやクラウドサービスなどでも取得できます。
取引先に安心して利用してもらうためには、必要事項を伝えるだけでなく、サービスの操作方法や問い合わせ先なども分かりやすく案内するとよいでしょう。
見読性を確保する
見読性とは、電子データとして保存された契約内容を、必要なときに画面や書面へ速やかに表示できることです。
電子契約サービスを選ぶ際は、契約書を画面上で確認できるだけでなく、PDFなどの形式でダウンロード・印刷できるか、必要な書類を検索できるかも確認しましょう。
原本性を確保する
原本性とは、契約締結後に契約書が改ざんされていないかを確認できることです。
電子データは、適切な対策を講じていない場合、紙の書面に比べて変更されたことに気づきにくい可能性があります。そのため、電子署名やタイムスタンプ、またはこれらと同等の効力を持つ方法を利用し、改ざんの有無を確認できる状態にする必要があります。
サービスを選ぶ際は、締結後の契約書に変更が加えられた場合に検知できるかを確認しましょう。加えて、締結日時や操作履歴を確認できる機能があると、契約書の管理やトラブルが発生した際の確認にも役立ちます。
本人性を確保する
本人性とは、電子契約の相手が、確かに契約当事者本人であることを確認できることです。
本人性を確保する方法には、電子証明書による確認や、ID・パスワードとSMS認証などを組み合わせた二要素認証があります。
電子署名には、契約当事者自身の署名鍵を使う「当事者署名型」と、電子契約サービス事業者の署名鍵を使う「事業者署名型(立会人型)」があります。国土交通省のガイドラインでは、事業者署名型も、一定の要件を満たすことで利用できるとされています。
そのうえで、電子署名が契約当事者本人の意思に基づいて行われたことを確認するため、二要素認証などを利用することが望ましいと示されています。
出典
国土交通省「電磁的措置による建設工事の請負契約の締結に係るガイドライン」
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建設業で電子契約を導入するメリット
建設業で電子契約を導入すると、契約にかかるコストや時間を削減できるほか、契約状況や書類の管理も効率化できます。
ここでは、主なメリットを5つ紹介します。
印紙税や郵送費などのコストを削減できる
紙で工事請負契約書を作成する場合は、契約内容や契約金額に応じて収入印紙が必要になることがあります。
印紙税の課税対象となるのは、印紙税法上の「文書」です。電磁的記録は文書に含まれないため、電子データのみで契約を締結する場合、原則として印紙税は課されません。
ただし、電子契約とは別に紙の契約書を作成・交付した場合は、その紙の契約書が課税対象となることがあります。
電子契約に切り替えることで、印紙代に加えて、次のような費用も削減できます。
- 契約書の用紙代・印刷代
- 製本費
- 封筒代・郵送費
- 保管スペースにかかる費用
契約書の作成や発送、保管にかかる業務負担も軽減できるため、契約件数が多い企業ほど効果を実感しやすいでしょう。
契約締結までの時間を短縮できる
紙の契約書では、印刷、製本、押印、郵送、返送などの作業が必要です。
電子契約なら、契約書の送信から確認、承認、締結までをオンライン上で進められるため、郵送や書類の持ち運びにかかる時間を削減できます。
現場担当者が契約書を事務所へ持ち帰り、押印後に返送するといった負担も減り、本来の業務に時間を充てやすくなります。
契約状況を把握しやすくなる
紙の契約書では、書類が担当者や拠点ごとに管理され、手続きの進捗を把握しにくいことがあります。
電子契約サービスを利用すれば、契約書の送信日時や相手方の確認状況、締結状況などをシステム上で確認できます。
対応状況を把握しやすくなるため、確認漏れや手続きの遅れを防ぐことにつながります。
契約書の検索・管理を効率化できる
紙で保管された契約書の中から、特定の工事や取引先に関する書類を探し出すには、時間がかかることがあります。
電子化された契約書であれば、取引先名や契約日、工事件名、注文番号などの情報から、必要な書類を検索できます。
契約書を電子データで一元管理することで、監査や問い合わせの際にも必要な書類を取り出しやすくなり、紛失や保管場所の分散も防げます。
契約書以外の取引書類も電子化できる
建設業では、契約書のほかにも、見積依頼、注文、納品、検収、請求など、多くの書類が企業間で取り交わされています。
電子取引の機能を備えたサービスを利用すれば、注文書・注文請書、見積書、請求書なども同じプラットフォームでやり取り・管理できます。
関連書類をまとめて確認できるようになり、契約締結だけでなく、発注から請求までを含む企業間取引全体の業務効率を高められます。
電子契約・電子取引をまとめて管理できる「DocYou」の機能を詳しく見る
建設業・建設関連企業におけるDocYouの導入事例
ここでは、建設工事を手掛ける株式会社シーテック様と、建設・土木資材を取り扱う大嘉産業株式会社様の事例を紹介します。
株式会社シーテック様|基幹システムとの連携で契約業務を効率化
中部電力グループの株式会社シーテック様では、大量の契約書類の処理が課題となっていました。
そこで、基幹システムのSAPシステム、電子帳票システムのPaples、電子契約サービスのDocYouを連携。SAPシステムに登録された工事件名や注文番号、取引先名などを再入力せず、取引先へ書類を送信できる仕組みを構築しました。
導入時には、多数の取引先への説明や展開をNHSが支援し、一部の部門から段階的に電子化を開始。契約書の持ち運びや押印にかかる手間が減り、自社と取引先双方の業務負担軽減につながっています。
株式会社シーテック様の導入事例を詳しく見る
大嘉産業株式会社様|紙の商習慣が残る業界で電子帳票DXを推進
建設・土木資材などを取り扱う大嘉産業株式会社様では、基幹システムの刷新をきっかけに、PaplesとDocYouを活用した電子帳票DXを進めました。
紙を中心とした取引慣行が残るなか、現場や取引先と調整しながら、対象となる書類や業務を段階的に電子化しています。
契約書だけでなく、企業間で取り交わす帳票全体を電子化の対象としており、自社や取引先の状況に合わせて無理なく電子化を進めている点が特徴です。
大嘉産業株式会社様の導入事例を詳しく見る
建設業向け電子契約サービスを導入する際のポイント・注意点
建設業向けの電子契約サービスを選ぶ際は、法令への対応だけでなく、取引先への展開のしやすさや、既存システムとの連携も確認する必要があります。
ここでは、導入前に押さえておきたい4つのポイントを紹介します。
建設業法の要件を満たすサービスを選ぶ
工事請負契約に利用する場合は、見読性・原本性・本人性を確保できるサービスを選びましょう。
電子署名やタイムスタンプに加えて、契約データの保存、検索、ダウンロード、操作履歴の確認など、適切に管理するための機能が備わっているかも確認が必要です。
建設業での導入実績や、建設業法・国土交通省のガイドラインへの対応状況を、サービス提供会社へ確認しておくと安心です。
多数の取引先へ展開しやすいか確認する
建設業では、規模やIT環境が異なる多数の協力会社と取引することがあります。そのため、自社の使いやすさだけでなく、取引先がスムーズに利用を始められるかも重要です。
次のような点を確認しましょう。
- 取引先向けの案内資料や操作マニュアルがあるか
- 説明会や問い合わせ対応などの支援を受けられるか
- 取引先側の費用や作業負担はどの程度か
- アカウント登録や利用開始の手順が分かりやすいか
- 登録後に契約書や取引書類を管理しやすいか
取引先が多い場合は、案内や問い合わせ対応にかかる自社の負担も大きくなります。どのような展開支援を受けられるかを、事前に確認しておきましょう。
必要な機能と既存システムとの連携を確認する
契約書の送信・締結だけでなく、自社の業務に必要な機能が備わっているかも確認しましょう。
工事件名や注文番号、取引先名などを毎回手入力すると、担当者の負担が増え、入力ミスも起こりやすくなります。基幹システムや帳票システムと連携できれば、書類の作成や送信を効率化できます。
また、建設業では、発注者が書類を送り、受注者が数量や金額などを入力して返送するといった双方向のやり取りが発生することもあります。
取引先からの回答やファイル返送、図面・仕様書の添付、複数書類の一括送信、見積書・注文書・請求書のやり取りなどに対応しているかも確認しましょう。
現在の業務フローを整理したうえで、電子化したい範囲に合うサービスを選ぶことが大切です。
一部の部門・取引先から段階的に導入する
すべての部門や取引先へ一斉に展開すると、問い合わせが集中し、現場が混乱する可能性があります。
まずは、契約件数が多い書類や、電子化に協力的な取引先、特定の部門などに対象を絞って始めるとよいでしょう。
試験運用では、社内の承認ルールや操作マニュアル、取引先からの問い合わせ内容、紙と電子契約の管理方法などを確認します。
課題を見直しながら対象を少しずつ広げることで、現場の負担を抑えつつ電子契約を定着させやすくなります。紙と電子契約を併用する期間についても、保管場所や管理方法をあらかじめ決めておきましょう。
まとめ
建設業でも、契約相手から事前承諾を得たうえで、見読性・原本性・本人性の要件を満たせば、工事請負契約書を電子契約で締結できます。
電子契約を導入することで、印紙代や郵送費などのコスト削減に加え、契約締結までの時間短縮や、契約状況・書類管理の効率化が期待できます。
一方、建設業では、規模やIT環境が異なる多数の協力会社と取引するため、取引先への案内や導入支援、既存システムとの連携も重要です。一部の部門や書類、取引先から段階的に導入することで、現場の負担を抑えながら電子化を進められます。
企業間取引プラットフォーム「DocYou」は、電子契約に加え、電子取引、書類配信、ドキュメント管理に対応しています。見積依頼・見積回答や注文書・注文請書などの双方向のやり取り、請求書の配信、基幹システム・帳票システムとの連携にも活用できます。
建設業における契約書や取引書類の電子化を検討している方は、ぜひDocYouの資料をご覧ください。
※本記事は2026/8時点の情報です。