電子帳簿保存法への対応、企業間取引のペーパーレス化、内部統制の強化。重要な取引書類を扱う業務では、単に紙を電子化するだけでなく、既存システムとの連携や部門ごとの運用、セキュリティを含めた設計が重要になります。
金融、通信、公共など幅広い業種・業態のお客様に向け、コンサルティングから設計、開発、運用、基盤構築まで、システムに関するさまざまなサービスを提供する大手情報サービス企業様。同社は社内基盤システムの刷新を契機に、日鉄日立システムソリューションズ株式会社(以下、NHS)の「DocYou(ドックユー)」を導入しました。
当初は一部業務からスタートし、徐々に複数部門へと活用範囲を拡大しています。なぜDocYouを導入し、どのように部門を越えて活用を広げてきたのでしょうか。両社にインタビューしました。
お話を伺った方
社内基盤システム刷新を契機に、文書管理・保管のあり方を見直す
まず、事業概要について教えてください。
経理部・財務ご担当者A:当社は金融機関や通信業界のお客様を中心に、ソフトウェア開発やシステムインテグレーションを提供している企業です。その他にも、住宅業界向けCADシステムなど、さまざまな業界のお客様に向けたサービスを展開しています。
経理部・財務ご担当者B:長くSIerとして、お客様の業務やニーズに合わせたシステムを提供してきました。社内でもSAPシステムを含めたさまざまなシステムを利用しており、今回のDocYou導入も、そうした社内システム刷新の流れの中で検討が始まったものです。
今回、DocYouの導入を検討したきっかけを教えてください。
ビジネス推進部・購買ご担当者:大きな背景として、当社の社内基盤システムを刷新するプロジェクトがありました。システムを切り替えるにあたり、文書の管理・保管のあり方についても、電子帳簿保存法への対応を含めて見直す必要がありました。
当時、各部門がそれぞれ使いやすいシステムを個別に利用している部分もありました。ただ、その状態では、事業部門の利用者側からすると、部門ごとに異なるシステムを使わなければならず、負荷が大きくなってしまう懸念がありました。そこで、社内基盤システムの刷新に合わせて、文書管理・電子取引の仕組みをどう整えるかという観点で、文書管理システムや電子取引サービスを複数比較検討しました。DocYouについては、前任の担当者が交通広告をきっかけに知り、Webサイトで情報を確認したと聞いています。
複数のサービスを比較する中で、どのような点を重視しましたか。
ビジネス推進部・購買ご担当者:重視したことの一つは、SAPシステムなどの社内基盤システムと連携できること です。社内基盤システムを刷新する中で、既存の業務フローと連動できることは重要な条件でした。
もう一つは、対応可能な業務の幅です。単に電子契約だけを行うのではなく、電子取引や書類の受け渡し、保管までを一つの仕組みの中で扱える点も評価しました。
当社の場合、最初から全社で一気に導入するのではなく、まずは特定の業務から始め、状況を見ながら広げていく必要がありました。その意味でも、DocYouの拡張性や汎用性は、導入を検討するうえで大きなポイントだったと思います。
購買業務から複数部門へ活用を拡大

まずは購買業務から。既存業務に負荷をかけない形でスモールスタート
最初はどのような業務から利用を始めたのでしょうか。
ビジネス推進部・購買ご担当者:ビジネス推進部の購買業務から始めました。社内ではパソコンやソフトウェアライセンスなどを購入する際に、サプライヤーへ見積依頼を行い、見積書を受け取ります。その後、発注書を送り、請求書を受け取るまでの一連の書類の受け渡しと保管にDocYouを利用しています。購買業務に関しては、旧システムで行っていた業務の流れを、新しいシステムでも違和感なく実現できることが重要です。そのため、既存業務と大きく変わらない形で移行できるかどうかを検証しました。
業務フローは、導入前後でどう変わりましたか。
ビジネス推進部・購買ご担当者:利用者である事業部門の社員は、基本的には上位システム側でいつものように申請や発注を行います。その裏側でDocYouが書類の送受信や保管を担い、見積依頼書や見積書、注文書、請求書などのやり取りが進む形です。
そのため、ユーザー側はDocYouを強く意識することなく、自然に新しい運用へと移行できました。必要に応じて、見積書などを参照したい人にはDocYouのユーザー登録を行うこともできます。そうした柔軟な使い方ができたことも、現場への負荷を抑えるうえで良かった点だと思います。
導入を進めるうえで、不安や難しさはありましたか。
ビジネス推進部・購買ご担当者:ビジネス推進部の中にIT専門のチームがないため、新しいシステムをどう使えばよいのか、社内にどう説明すればよいのかという不安はありました。
その点については、NHS・担当者に丁寧に支援していただきました。操作方法や運用イメージを画面や資料で説明してもらい、わからない点もその都度確認できたことで、こちらも社内に説明しやすくなりました。最初の立ち上げ時に不安を減らせたことは大きかったと思います。
NHS・担当者:新しいシステムに切り替わるときは、どうしても利用される皆様に負荷がかかります。そのため、単に機能を説明するのではなく、「この業務ではこう使えますよね」「この運用ならこの流れになりますよね」という形で、実際の業務に近いイメージを持っていただけるように意識しました。
ご要望を伺いながら、今すぐできること、現時点では難しいこと、今後のエンハンス(機能追加や改善)で検討可能なことを率直にお伝えしながら、一緒に運用をつくっていく感覚で進めました。
電子契約への展開で、契約業務を効率化

受注関連書類の保管へ展開。電帳法対応を見据えたドキュメント管理
その後、社内ではどのように活用が広がっていったのでしょうか。
ビジネス推進部・受注ご担当者:購買業務での利用開始から1年後には、受注担当でもDocYouを利用することが決まっていました。計画通りに受注担当では、受注関連書類の電子化・保管、および電子帳簿保存法への対応を目的としてDocYouの活用を開始しています。
ただ、受注業務にはどうしても譲れない運用要件がありました。例えば、ドキュメント管理に内部承認の仕組みを付けたい、保管期限を当社の運用に合わせたいといった要望です。それに対して、DocYou側でエンハンスを検討していただけるという話があったため、移行に踏み切ることができました。
購買業務と受注業務では、扱う書類や求められる管理方法が異なります。受注業務では、ドキュメントロックや非表示設定など、購買業務とは異なる機能も活用しています。こうした業務ごとの違いに対応するため、DocYou上でアカウントを分け、それぞれの業務に合った運用を実現しました。同じDocYouを全社で使いながらも、部門や業務ごとの要件に合わせて管理できる点は、大きなメリットだと感じています。
導入後の変化についてはいかがですか。
ビジネス推進部・受注ご担当者:受注関連書類は、事業部門の担当者が登録し、承認に回した後、受注担当である私たちが登録された内容を確認する流れです。画面遷移が少なく、直感的に操作できるため、月次業務の忙しい時期でも作業時間が短くなっていると聞いています。
経理部では電子契約に活用。印紙代削減と業務負荷の軽減を実現
他部門では、どのような形でDocYouの利用が始まったのでしょうか。
経理部・財務ご担当者B:経理部では、グループ会社との資金のやり取りに関する契約でDocYouを利用しています。グループ会社から弊社に資金を預けていただく施策があり、その契約や利息の計算書のやり取りを電子化するために導入しました。
もともと課題として大きかったのは、印紙代です。金銭が関わる契約書を紙で取り交わすと、印紙税が必要になります。対象となる契約全体で見ると、印紙代だけで年間数百万円程度かかる見込みでした。紙を印刷して郵送し、印紙を貼る運用は、コスト面でも手間の面でも見直したいと考えていました。
そこで、電子契約の導入についてビジネス推進部に相談したところ、DocYouで電子契約ができると知りました。すでに社内で利用されている仕組みなら、経理部でも使えるのではないかと考えたのがきっかけです。
導入時に苦労したことはありましたか。
経理部・財務ご担当者C:大きな壁は感じませんでした。事前に操作説明の資料を共有していただいていたので、それを見ながら疑問点を解消できました。DocYouの画面自体もシンプルで、複雑だとは感じませんでした。マニュアルも画面上から確認できるため、基本的な使い方はそこで把握できました。わからない点があったときも、メールで質問すれば回答をいただけたので、導入にあたって大きくつまずくことはなかったです。
経理部・財務ご担当者B:導入にあたってはグループ会社の皆様にもDocYouを使っていただく必要がありました。当社主導で進める施策でもあるため、相手先にできるだけ負担をかけないよう、丁寧に説明したいと考えていました。グループ会社向けの説明会にもNHS・担当者に参加していただき、操作方法を説明してもらえたのは非常に助かりました。
導入後の変化を教えてください。
経理部・財務ご担当者A:紙で郵送する場合と比べて、社内承認を取って送信するまでの流れがかなり楽になりました。契約後も、利息の支払いに関する計算書など、関連するやり取りをDocYou上で行えます。一連の書類が同じ場所にまとまっているため、管理しやすいですし、相手先がどこまで確認しているかというステータスも把握しやすくなりました。
作業工数としては、従来は2日ほどかかっていたものが1日程度になっている感覚です。取引が発生するたびに、工数は半分程度になっているのではないかと思います。
また、メールで送る場合は、宛先を間違えていないか、送付内容に誤りがないかを細かく確認する必要があります。DocYouでは送信前に複数人で内容を確認し、多段階で承認を行う運用が可能です。一人で最終判断を背負う必要がなくなり、安心して送信できるようになったため、心理的な負荷も下がりました。

人事部では機微情報をクローズドに管理。部門別アカウントでセキュリティを強化
人事部では、どのような経緯でDocYouを利用することになったのでしょうか。
人事部・従業員サービスご担当者A:ビジネス推進部からDocYouがドキュメント管理としても使えると聞き、人事部の書類保管も既存システムからDocYouに切り替えようという話になりました。人事部が扱う書類には、給与情報や個人情報などの機微情報が多く含まれます。例えば、グループ会社への出向料に関する請求書にも、内訳として個人情報が入ることがあります。人事部としては「どのように安全に管理するか」が非常に重要なポイントでした。
人事部・従業員サービスご担当者B:DocYouではアカウントを分けて管理できること、閲覧・管理範囲を人事部内に限定して運用できることを確認できたため、問題なく利用できると判断しました。また、従来のシステムでは、保管のオペレーションが煩雑で、システムのレスポンスにも課題がありました。DocYouに切り替えたことで、保管作業の負荷は解消されてきていると感じています。
使い勝手についてはいかがですか。
人事部・従業員サービスご担当者A:私は承認する立場で使うことが多いのですが、請求書の内容や金額の確認から承認までを1画面で完結できる点が使いやすいです。マニュアルだけでいきなり操作するのは難しい部分もありますが、導入時にボタンの意味やロックの使い方などを個別に説明していただき、スムーズに使い始めることができました。また、グループ会社との契約管理でもDocYouを利用しており、別システムと比較してもUIがシンプルで使いやすいと感じています。
活用が広がった理由は「アカウント分け」と、相談しやすい社内風土

ビジネス推進部の購買業務から始まったDocYouの活用は、受注業務、そして経理部、人事部へと展開しています。今回、部門を越えて利用が広がった理由をどう見ていますか。
ビジネス推進部・受注ご担当者:「アカウントを分ける」という発想に至ったことは大きなポイントだったと思います。もともと導入当初は、全社の文書を一つのアカウントで管理する想定もありました。ただ、その形ではうまくいかないのではないかという議論がありました。購買担当と受注担当でも運用が異なりますし、経理部や人事部が扱う情報には機密性の高いものもあります。
ビジネス推進部・購買ご担当者:部門や用途別にアカウントを分けられるとわかったことで、他部門にも案内しやすくなりました。当社の実情に適した運用を考えられたことで、その後の展開につながったのだと思います。
経理部・財務ご担当者B:当社では、ビジネス推進部、経理部、人事部などが同じコーポレート部門に属しており、各部門が近い関係にあります。何か困ったことがあれば気軽に相談できるし、情報交換も活発です。そうしたコミュニケーションがあったことも、今回の横展開につながったのではないでしょうか。
ビジネス推進部・購買ご担当者:もう一つは、社内基盤システムの移行という共通の課題があったことです。システム移行に伴って、各部門に少なからず負荷がかかっていました。だからこそ、少しでも業務を楽にできる方法があるなら取り入れたいという機運がありました。
そのタイミングで、視覚的にわかりやすく、サポートも受けながら使えるDocYouを紹介できたことは大きかったと思います。デモ環境で実際に画面を触りながら試せたことも、導入前の不安を下げるうえで有効でした。
NHS・担当者:DocYouは、上位システムと連携し、請求書や納品書を届ける裏側の仕組みとして利用されることが多いサービスです。そのため、他部門からはDocYouの存在が見えにくく、利用が広がりにくいこともあります。今回の場合は、部門を越えたコミュニケーションの中で、「この業務にも使えるのではないか」「アカウントを分ければ解決できるのではないか」と具体的な議論が活発に交わされていました。その結果、一部業務の効率化にとどまらず、部門ごとの課題を解決しながら、企業全体としてのDX推進につながっているのだと思います。
電子契約にとどまらず、取引書類管理の基盤へ

今後の活用について教えてください。
ビジネス推進部・受注ご担当者:受注業務では、現在は主にドキュメント保管として利用しています。ただ、DocYouには電子取引の機能もあります。今後、お客様からDocYouを使った電子取引を希望されるケースがあれば、利用シーンが広がる可能性はあります。
経理部・財務ご担当者C:経理部では、さまざまなグループ会社と書類をやり取りする業務があります。経理部内でもDocYouの存在は周知されてきているので、今後は少しずつ利用範囲を広げ、書類のやり取りや保管を統一できればよいと考えています。
人事部・従業員サービスご担当者B:人事部でも、電子契約の活用範囲をもう少し広げていきたいと考えています。人事関連の書類はまだ紙が多いので、紙でやり取りしているものを電子化し、DocYouで保管することも今後のテーマになると思います。
NHS・担当者:DocYouは、電子契約、電子取引、書類配信、ドキュメント管理を一つのプラットフォームで扱えるサービスとして、今後も機能強化を進めていきます。中小受託取引適正化法(取適法)への対応を見据えた価格交渉記録や関連書類の管理、電子化しきれない紙書類の取り扱いを含め、企業間取引の周辺業務まで支援できるよう、御社の業務に寄り添いながら、引き続き伴走してまいります。
※ページ上の内容は2026年6月時点の情報です。
まとめ
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一部業務からスモールスタートすることで、現場負荷を抑えながら段階的にDXを推進できる
- 電子契約、電子取引、ドキュメント管理を一つの基盤で扱えることが、部門横断での活用を後押しする
- 部門や業務ごとにアカウントを分けることで、機密情報や重要書類も安全に管理しやすくなる
- 部門間で相談しやすい社内風土と伴走支援が、複数部門への展開を後押しする
- 企業間取引DXは、業務効率化に加え、電帳法・取適法対応を見据えた取引書類管理の基盤づくりにつながる


