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2021.04.12

Q&Aでわかる電子契約・電子取引 第3回「電子契約・電子取引の現在と未来」

電子契約・電子取引が急増し、もはやビジネスの新常態になりつつあります。「Q&Aでわかる電子契約・電子取引」の3回目は、今、導入の現場ではどんなことで悩んでいるのか、日本での普及率はどれくらいか、今後どうなっていくのか、電子契約・電子取引の現状と今後について、PPAP総研代表の大泰司章さんに解説していただきました。

関連リンク

第1回「電子契約・電子取引とは?」
第2回「電子契約システムの失敗しない選び方」

プロフィール

大泰司 章(おおたいし あきら)さん PPAP総研代表

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三菱電機、日本電子計算の営業現場で数百社と商取引をする中で、紙にハンコ、PPAP※1、PHS※2、ネ申エクセル※3といった形式的な電子化などを経験。これらの不合理な商習慣を変えるべく、2012年より一般財団法人 日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)にて電子契約やインターネットにおけるトラストの普及に従事。2020年からはデジタル商取引をさらに推進すべくPPAP総研を設立し、ユーザー向けとベンダー向けにコンサルティングを実施。

※1 Passwordつきzip暗号化ファイルを送ります/Passwordを送ります/An号化/Protocol
※2 Printしてから/Hanko押して/Scanして送ってくださいプロトコル
※3 印刷した際の見栄えを優先して作られているため、Excel本来の目的であるデータ整理や表計算ができないほど、複雑にレイアウトされたExcel

すでに7割弱が導入。電子契約の今後は?

Q1. 現場は、どんなことで悩んでいる?

A1. 今一番多いのは「どのシステムを選べばいい?」という相談です。

大泰司さん 電子契約システムの導入期は「わが社の場合、契約や取引業務を電子化しても大丈夫なんだろうか?」という相談が多く寄せられました。
電子化の進展はトレンドですし、基本的にはなんでも電子化できるのですが、業界によっては、特有の業法に「書面で」と定められている場合があります。そこをクリアするために、一緒に省庁まで出向いて大丈夫だという確認を取り付けていました。その業界でどこか1社が突破すると、他社も一斉に電子化を進めるという状況が数年続きました。


成長期に入った今は、「さまざまな電子契約システムがあるが、どれを選べばいいのだろう?」という相談が最も多くなり、『Q&Aで分かる電子契約・電子取引 第2回「電子契約システムの失敗しない選び方」』で触れたポイントで選ぶことをおすすめしています。
事業としての継続性が疑わしい事業者もありますし、なかには特殊なフォーマットで保存しているサービスもありますので、コンサルタントとしてそうした点をアドバイスしています。

Q2. 日本ではどれくらい普及している?コロナ禍の影響は?

A2. 普及率は約7割弱。問い合わせ件数をみると、2020年は前年に比べ急増しました。

電子契約の利用状況

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出所:JIPDEC/ITR「企業IT利活用動向調査2021(速報結果)」

大泰司さん 2021年3月に発表された一般財団法人 日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)の調査によると、電子契約の普及率は前回調査時(2020年7月)の41.5%から67.2%※1に急増しました。今後の予定を含めると、8割強が電子契約を利用する見込みです。私の実感では問い合わせ件数は1年前の5~6倍にまで急増しています。

また、株式会社アイ・ティ・アール(ITR)の調査では、コロナ禍を機に「社外取引⽂書(契約書など)の電子化対象拡⼤」を実施予定と回答した企業が36%※2に上り、コロナ禍が導入の後押しになった様子が分かります。契約書の電子化は、パンデミックや⾃然災害に対する事業継続の観点からも有効であるとの認識も広まったと考えられます。

こうしたことから今後もますます導入企業が急増していくと予想され、2023年度には市場規模は2020年度の倍に近い200億円※3に迫るとの予測もあります。

※1 JIPDEC/ITR「企業IT利活用動向調査2021(速報結果)」
※2 ITR「コロナ禍の企業IT動向に関する影響調査」(2020年4月調査)
※3 ITR「ITR Market View:ECサイト構築/CMS/SMS送信サービス/電子契約サービス市場2020」

電子契約サービス市場規模推移および予測

column_img_003_02出所:ITR「ITR Market View:ECサイト構築/CMS/SMS送信サービス/電子契約サービス市場2020」

Q3. 電子契約システムの導入にあたって留意すべき点は?

A3. 取引先さまへの説明です。

大泰司さん 導入プロセスで一番苦労するのは、取引先への説明です。ただ、最近は電子契約システムの導入がトレンドになっているため、かつてよりも難易度は下がっています。とはいえ丁寧に依頼していく必要があります。取引先の社内規定を変えなければならない場合は、特に労力が必要になります。共同で取引先に対応してくれるベンダーであれば、よりスムーズに導入を図ることができます。

Q4. 電子契約・電子取引が進むと、経理や総務の業務はどう変わるのか?会社全体ではどうか?

A4. 必要な書類の見直しや、取引先も含めたBPRの推進が求められるようになります。

大泰司さん 今は、契約・取引業務で飛び交う多数の紙を電子化しようという段階です。それらの紙は当初は、合理性があって生み出され、利用されてきたものでしょう。
しかし、今の時代、本当にすべてが必要なのかを見直すべきです。「今までこれでやってきたから」と合理的な理由なしにすべてを電子化するのではなく、どの書類が業務に本当に必要なのかを精査することを、電子化に乗じて行うことも必要です。


これには業務の見直しが伴うでしょう。一段とBPR(Business Process Re-engineering:業務フローや組織構造を見直し、再構築する取り組み) を進めることも必要になります。この時に重要なのは、自社のことだけでなく、取引先とのコミュニケーションの効率化、ひいては取引先の業務効率化も考えることです。
紙の書類をPPAP※1やPHS※2に置き換えるのはもってのほかです。契約書等の取引文書以外についても、メールではなく、電子契約サービスを利用する方法もあります。また、あらためて取引先にも使いやすいEDI(Electronic Data Interchange:ビジネス文書を電子でやりとりする仕組み)について検討をすることも必要ですね。


契約・取引の電子化の流れはもはや後戻りすることはありません。
電子契約・電子取引の導入は、仕事の生産性をあげるチャンスだと捉え、今までの業務内容やフローを社内で一度整理してみてはいかがでしょうか。

※1 Passwordつきzip暗号化ファイルを送ります/Passwordを送ります/An号化/Protocol
※2 Printしてから/Hanko押して/Scanして送ってくださいプロトコル

※本記事は2021/04時点の情報です。

まとめ

  1. 今一番多い現場の悩みは「どのシステムを選べばいい?」
  2. 日本での普及率は7割弱。コロナ禍で問い合わせ件数は急増
  3. 将来的には業務に必要な書類の見直しや、取引先も含めたBPRの推進が必要

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